■9坪ハウスの設計・施工例


私が9坪ハウスという名前をしたのは建築雑誌ではなく
おそらく作並義彦の設計を見てからだと思います。
最初に見た9坪ハウスはあまりにも広く豊かで
それは普通の住宅と変わらないどころか
むしろ良質なものに感じました。

それから、興味を持って他の9坪ハウスのプランも見たのですが
どれも窮屈な印象や貧しい印象しかもてませんでした。
おそらく空間の作り方が圧倒的に違うのだと思います。
では作並の設計した9坪ハウスはどこがすばらしかったのか?



まずはリビングの空間です。
内側から外側を見たときにリビング床とデッキが一体化して
それは心地の良い広がりを持っていたのです。
9坪のLDKは18畳です。
そのうちの2畳分を階段に取られているのですから
実質は16畳というスペースです。
なのに広いと感じました。十分と感じました。
おそらく、コーナーサッシと、
出窓がおそろしく効果があるのだと思います。



出窓は少しでも空間を広げたいときには
とても有効だと知ることになりました。
コーナーサッシの外側にはデッキがありますが
目隠し壁と合わせて外観の一部を作っています。
自転車を下に置く工夫もになかなかのものです。
この自転車の横のスペースなのですが
お風呂の庭になっています。
外からは見えないのですが中からは庭になっていて

お風呂の窓から見える木がデッキを突き抜けて
テラスに飛び出ています。

なんてかっこいいプラン!




ダイニングの窓も大きく出窓になっていることで
通常の広がりよりも広く感じられました。
窓が大きく開いているというのも
狭い住宅の中では大きな意味を持つことが分かります。

9坪ハウスというのは全体が9坪という事ではなく
建坪が9坪ということですから2階あれば18坪になります。
3階建てであればさらに述べ床を増やすことが可能になります。
建坪9坪でも十分な広さを感じられるということです。
車2台分のスペースと9坪あれば戸建は広く感じるという実例です。



でも、よくあらない場所もあります。
タタミコーナーなどは3畳ほどの小さなスペースでした。
ニッチやポイントクロスなどのインテリアで
広さをカバーして非常に快適なごろねスペースになっています。



ニッチは隙間という意味を持ちますが
隙間がこれほどの空間を広げるアイテムになるとは想像していませんでした。
タイルのカウンターやいたるところにニッチなる隙間がはめ込まれて
隙間の中の小物が生き生きと調和しています。



ニッチという隙間が空間を広げているのです。
私がこの住宅をみて知ったのは
インテリアは広さをカバーできるということ
すばらしい住まい方だと思います。
建て主のセンスに拍手を送ります。

9坪ハウスの設計施工例
設計:作並義彦
コラム:信太淳英
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